でもでも鯖(Mastodon)のおともだちと市谷の杜 本と活字館の企画展「明朝体」に行った時のレポです。
こちらの記事でこの企画の事を知り、声をかけたところ2名の方が同行してくれることになりました。
どうしてこの企画展に興味をもったのか?という話題になったとき、その場でうまく説明できなかったのですが、思えば書体に最初に興味をもったのは小学校に上がる前だったと思います。
毛筆の文字を見たときに、かっこいい!と感じ、自分もこんなかっこいい文字を書きたいと思うようになり、自ら親に志願して小1の頃から書道を習うようになりました。
そんな事で子供のころから文字の造形に魅力を感じており、印刷物などを見ても物によって異なる書体に興味をずっと抱いていました。この頃にもし書体の見本帳のようなものを渡されていたら、今よりもずっとのめりこんで、より高度な絶対フォント感1も持っていたかもしれません笑
当時色々な事に興味を持っていたので、書体にのみ執着するような事はなかったですが、今でもフォント関連の書籍を買ってみたり、PCにいろんなフォントを入れてみたりと、仕事とは直接的に関係があるわけではないですが、趣味の一つとして書体に興味を持ち続けています。
前置きが長くなりましたが、ここから展示のご紹介をします。
市谷の杜 本と活字館は大日本印刷が運営する文化施設です。市ヶ谷駅から徒歩15分ほどの場所に位置し、辺り一帯は大日本印刷本社を含む関連社屋が建ち並びます。その為、行ったのが日曜日という事もあり、人出も少なく閑静な街並みでした。同じ新宿区でも我が勤務先とは大違いで、このエリアはそれだけで魅力があります。施設の建物も大正時代に建てられた工場を当時の姿に復元したものとなっているそうで、とても趣きがあります。

まずは受付で案内をうけます。館内は撮影が自由となっており1Fが常設の展示、2Fの一部が企画展となっています。1Fに気になるものがたくさんありましたが、まずは今回の目的の企画展へ向かいます。
展示は、手前が新しい明朝体の紹介、奥に進むにつれて時代を遡って古い書体の紹介になっています。
まず最初に紹介されているのがアドビ社の貂明朝。おそらく史上初のかわいい明朝体との事です。たしかに角がたっている印象の明朝体と違い、丸さややわらかさを感じます。


その他にも下写真のような書体が原図などとともに紹介されています。詳しい解説は展示や冒頭にリンクを貼った記事に譲りますが、時代とともに開発のコンセプトも変わり、それぞれに特徴があるのが見て取れます。





そして、なんといっても目を引くのが壁いっぱいに広がる明朝体年表。一面で終わりかと思いきや、奥に曲がってまだ続いていました。


さて、企画展以外にもこの施設では活版印刷を中心に常設の展示も充実しています。
大日本印刷の前身である秀英舎は明治に活版印刷の会社として創業し、その資料館としての役割も担っているのだと思います。
1Fは活版印刷で本をつくる流れを6つの工程にわけて紹介しています。原図を描いて型をつくる「作字」、型に金属を流し込んで活字をつくる「鋳造」、原稿に合わせて活字を広う工程の「文選」、拾った活字を組み上げる「植字」、そして「印刷」、「製本」まで、豊富な実物の展示とともに解説しています。








タッチパネルで選択し、タイムを競えます
2階ではワークショップや、購買があります。購買ではワークショップにも利用できる、用紙や印刷用インキの他、今回の明朝体に関連する書籍なども販売しています。
下の写真は、実際に活版印刷を体験できるコーナーでしおりに印刷をした様子。この卓上活版印刷機は通称「テキン」と呼ぶそう。
しくみは、ハンドルを押し下げるとローラーが上部へ上がり、円状のインキ盤からローラーにインキが移ります。ハンドルを上下させることで版にインキがのり、最後にハンドルを下まで力をこめて押し下げると、紙に版が押しつけられ、印刷が完了します。



私が物心つく頃にはPCも普及しており、デジタルフォントネイティブな世代です。その為、これまでの人生、活版印刷にも写植にも一切触れることはありませんでした。書体自体に興味をもっていたこともあり、そのような技術が使われていた時代があり、そのころの書体が近年になってデジタルフォントとして開発されたりもしているというような知識は持っていましたが、具体的にどのように印刷を行っていたのかというイメージはあまりもっていませんでした。
この施設の展示や体験を通じて、これまでぼんやりとしていた活版印刷に対する解像度が一気にあがりました。そしてこのアナログな手法による印刷物にとても魅力を感じました。
令和の時代にレコードが流行ったり、使い捨てフィルムカメラが流行ったりとアナログブームがありますが、次は活版印刷かもしれませんね。
展示を見終わった後は、休憩にカフェでドリンクを頼みました。限定メニューのカプチーノは『9種類の明朝体』+『3種類の企画展オリジナルキャラクター』全12種類からランダムのラテアートが描かれます。

もともと書体に興味があり今回の企画展に足を運びましたが、明朝体の魅力とともに、活版印刷にもすっかり魅せられてしまいました。驚きなのがこの施設、入場料がなんと無料なんです!
広報にもなりえるとはいえこんな立派な施設を無料で開放しているとは、さすがは大手企業といったところ。
明朝体の企画展は5月末までの開催ですので、興味を持った方は是非足を運んでみてください。
定期的に新しい企画展が開催されているようなので、私もまた行きたいと思います。
●市谷の杜 本と活字館
- 東京都新宿区市谷加賀町1-1-1
- 開館時間:10:00~18:00休館:月曜・火曜 (祝日の場合は開館)
- 入場無料
https://ichigaya-letterpress.jp/
Instagram :@ichigaya_letterpress
- 絶対フォント感とは、角川文庫版の夏目漱石『坊っちゃん』を開いた途端、目に入ってきた書体「イワタ明朝体オールド」の漢字とかなの大小バランスが織りなすテンポ感に舌なめずりをし、金属活字を思わせる字形に匂い立つ文学感を感じながら、同じところを何度読んでも飽きない能力を指す。(MdN vol.282 絶対フォント感を身につける。[明朝体編]) ↩︎

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